人生のあたりまえを変えた人間ドックとこの15年

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「後輩がうけているから、受けてみようかな人間ドック」

この単純な動機が人生を大きく変えることになりました。

それは、15年前。前々年の祖母の死・前年の父の死も大きく影響していました。

普段は一般健診でしたが、この日は人間ドックに変更して、初の受診。そのあとは、一般健診に戻ることはありませんでした。

初めてのバリウムで「1ヶ月以内に精密検査を受けてください」と、要再検査の連絡を受けました。時間が取れず2ヵ月後に検査。診断は胃がん。幸いにも超初期でした。

当時の生活スタイルは早くても20時に仕事終わり。土曜出勤は当たり前、夕方からトラブルを対応していたらいつのまにか22時になっていたような生活をしていました。少々の無理な納期であっても相手の思いに応えられるなら、一直線で仕事以外の全てを捨てて取り組むような生き方があたりまえでした。

ガン宣告されたときも、仕事が忙しくて気が回っていなかったようで、ショックとも、先が真っ暗とか、死ぬかもしれないとか、考えることもなかったです。ただ「手術を受けないといけない。それまでにいろいろ調整しなきゃいけない」と考えただけでした。ふりかえると仕事のことしか考えておらず、健康面への意識は全くなかったのでしょう。

1か月後に入院、検査、手術となりました。

手術して回復に向けて年を越し、やがて退院。これからどうしようかと漠然と悩んでいたことを覚えています。胃がんが見つかる前と同じような生き方をしたら、また病気になるのではないかと。慣れてしまった生活をいきなりは変えられないのですが、手術直後は体が今までのように動かないので、徐々に結果として生き方を変える準備ができたと思います。

手術後は定期的な検査があったのも、あたりまえを変えていくためにはよかったです。最初の頃は3ヵ月に一度、ここ最近は2年に1度検査してもらう。検査の後、「今回も大丈夫だった」と確認して病院から帰る道は至福の時でした。この時間は本当に何事にも代えがたい時間です。

人間ドックも毎年受けています。人間ドックの最後に診察があり、先生の話を聞いたあとも散歩しています。この時間もいつもホッとした心持ちになれます。

私はガン家系に生まれています。祖父は胃がん、父に続いて叔父も膵臓がんで亡くしています。叔父には「同じ病気になる可能性が高いから」と言われ、MRIの検査を追加して6年経ちました。運良く問題は発見されず今まできています。

15年間を振り返ってみると、生き方がかなり変わりました。仕事においては、現場作業から管理主体に変えてもらったのこともあり、時間内に徹底的にパフォーマンスを発揮し、終了時間がきたらいい意味できりかえて回復の時間を取る。

なによりも「自分の体を気遣う」。そんな生き方が、できるようになりました。

あの時に胃がんになってなかったら今の人生はどうだっただろう?と考えることがありますが、その時は胃がん以外のもので健康面や精神面に問題がでていたと想像できます。

「自分を鍛え、言い訳せず主体的にやり抜く」という、父の信条の影響を受けて生きてきましたが、人間ドックで見つかった病気とその回復の過程から「すぐにできるものは、すでに目処がついている。今取り組むものは時間のかかること」とゆとりをもって捉えられるようになり、コツコツと対応するようになりました。

人生のあたりまえが、「とにかく期待にこたえて結果をだすことを重視し、健康面を大事にできていなかった生き方」から、「心身を大切にする、自分のできる範囲を大幅に超えない生き方」に大きく変化したのです。

今は、そのあたりまえをどうやって実現し続けられるかを、最初に考えるようになっています。適切な運動、睡眠、食事と休憩。ストレスは回復できる範囲に抑えられるよう調整する。知識としても、プロジェクトマネジメントや心理学や脳科学を学んだりしています。

「心身を大切にする」という、あたりまえが実現できているか、このまま安心して生きていっていいかを定期的に確認する。人間ドックはその節目でもあります。


人間ドック体験手記募集というのがあり
応募してみました
その時の文章です

残念ながら落選でしたが
せっかく書いたので記事化しました

選ばれた方々の手記はこちら
読んでみようと思います

有事の時こそ普段通り

物理学の野望 現在はレベル50

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